妻恋う鹿は笛に寄る

初夏の作品

群青色の闇が

あなたの底に向かって流れていく

金糸雀色に光る三日月も

一緒に落ちていく

瑠璃色の地球が滅亡するかのごとく

ひゅごーひゅごーと音を立てて

表面では渦を巻いている

珊瑚朱色の唇を奪うと平手打ちされたが

流れは止まった

懲りずにもう一度奪うと

静かになり、砂を蒔いたような金色の星が光り始めた

朱色に光るベテルギウスはいつか超新星爆発を起こす

僕はその時を待っている

ずっと片思いの気持ちを抱いたまま

美しく覚醒していくあなたのそばで