妻恋う鹿は笛に寄る

初夏の作品

誰のものでもない世界を僕らは生きている

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荒い呼吸のまま
転がっている
焼けついた魂の慟哭

干からびた大地から
水を吸い上げようともがく
植物の祈りにも似た力

満たされない世界を
僕らは生きている
欠けているものを補い合う為に

孤独を背負ったまま
歩いている
錆びついた魂の血の味

群れることを捨てた
コヨーテは遠吠えをする
星影が湖畔に消える夜の帳

誰のものでもない世界を
僕らは生きている
奪い合うのではなく分かち合う為に