妻恋う鹿は笛に寄る

初夏の作品

洞穴

人々が愉快に暮らせるような楽園型の人間にはなれないような気がする。面白いことを言える訳ではないし、人を楽しませたり、愉快な気持ちにさせられる人間ではない。どちらかというと、ひっそりとした洞穴型の人間かもしれない。果実もなく、明るい日差しが入ってくるわけでもなく、ただ小動物や鳥が眠るために戻ってくるだけの場所という感じ。いろいろな人間がいて、その求めに応じられる内容もまた人それぞれで、人を楽しませるのが得意な人もいれば、明るい人もいる。そういう中で自分はどんなタイプの人間で、どんなことをしていけばいいのか見つけて、それに徹することって大事だなと思う。僕は暗い森の中で、朽ち果てた木の洞穴のような人間であれるように、そう徹していこう。それでいいと思う。